仕事の調査・リサーチに遊び心を 短時間でできる簡単テクニック
日々の仕事において、調査やリサーチは欠かせない作業プロセスの一つです。最新技術の動向、デザインのトレンド、ユーザーのニーズ、競合の情報など、多岐にわたる情報を収集・分析することで、より質の高い成果へと繋がります。しかし、こうした調査業務がルーチン化すると、単調に感じられたり、既存の枠を超えた新しい発見が生まれにくくなったりすることもあるかもしれません。
本稿では、日々の調査・リサーチ業務に短時間で遊び心を取り入れ、マンネリ化を防ぎつつ、新たな視点や発想のヒントを得るための簡単テクニックをご紹介します。数分からでも試せる工夫を取り入れることで、情報収集のプロセス自体をより創造的で楽しいものに変えることができるでしょう。
普段使わない検索経路を試す
情報を検索する際、私たちは普段から使い慣れた特定の検索エンジンやプラットフォームを利用しがちです。もちろん効率は良いのですが、発見の幅を狭める可能性も否定できません。
そこで遊び心として提案したいのが、意図的に普段使わない検索経路を試してみることです。例えば、
- 特定の分野に特化した検索エンジンやデータベースを利用してみる：デザインならPinterestやBehance、技術ならGitHubやQiitaなど、普段の情報源とは異なる専門サイトで検索してみる。
- 画像検索や動画検索を中心にリサーチしてみる：テキスト情報だけでなく、視覚的な情報からアプローチすることで、思いがけないデザインパターンやコンセプトに出会えるかもしれません。
- あえて古めの情報源にアクセスしてみる：アーカイブサイトや過去のブログ記事など、最新情報だけでなく歴史的な文脈やかつてのトレンドを辿ることで、現在の状況を俯瞰する視点が得られる可能性があります。
これらの方法は、それぞれ数分から10分程度でも試すことができます。いつもと違う角度から情報に触れることで、既存のアイデアにとらわれず、新しいインスピレーションを得るきっかけになるでしょう。
意図的に「ノイズ」を検索に取り入れる
効率的なリサーチでは、目的のキーワードに絞り込み、関連性の高い情報だけを選別することが基本です。しかし、時にこの「絞り込みすぎ」が、偶然の発見や異分野からの着想の機会を奪っていることもあります。
遊び心として、意図的に検索に「ノイズ」を取り入れてみるのはいかがでしょうか。
- 目的のキーワードに、一見無関係な形容詞や名詞を加えて検索する：「Webデザイン」に「音楽」「料理」「宇宙」といった単語を組み合わせて検索してみる。
- 検索結果の「関連性の低い」情報にあえて目を通してみる：通常なら無視するような、少しずれた内容の記事や画像を眺めてみる。
- 情報源の「コメント欄」や「関連商品」などに注目してみる：本文からは得られないユーザーの生の声や、予期しない関連情報が見つかることがあります。
これらの試みは、1回の検索につき追加で数分程度の時間を要するかもしれませんが、普段は出会えないような意外な情報や、全く異なる分野のアイデアが視界に入ってくる可能性があります。直接的な答えには繋がらなくても、発想を柔らかくする刺激となるでしょう。
物理的な環境での発見を促す
オンラインでのリサーチが主流の現代において、物理的な空間での情報収集は新鮮な体験となり得ます。
休憩時間などを活用して、短時間でもオフラインの環境に触れてみるのはいかがでしょうか。
- 書店や図書館のデザイン・アート・技術関連コーナーをぶらつく：目的の本を決めずに、面白そうな装丁やタイトルに惹かれて手に取ってみる。デジタル情報にはない質感やレイアウトから刺激を受けられるかもしれません。
- 街を散歩しながら周囲のサインや建築物を観察する：広告デザイン、フォントの使い方、建物の構造や色合いなど、普段は意識しない街中のデザイン要素に目を向けてみる。
- 美術館やギャラリーのオンラインコンテンツを閲覧する：実際に足を運ばずとも、キュレーションされた作品群を見ることで、美的感覚や概念的な思考を刺激される可能性があります（もし近くにあれば、短い時間でも訪れるのも良いでしょう）。
例えば、あるデザイナーが、街を歩いている時に偶然見かけた古い看板のタイポグラフィに触発され、プロジェクトのロゴデザインのアイデアを得た、という話を聞くこともあります。物理的な、あるいは五感を伴うインプットは、脳に異なる種類の刺激を与え、新たな回路を開くきっかけとなるでしょう。10分から30分程度の短い時間でも、こうした意識的な行動は可能です。
まとめ
日々の調査・リサーチ業務は、単に情報を集めるだけでなく、新しいアイデアを生み出すための重要なインプットプロセスでもあります。今回ご紹介したような、普段使わない検索経路を試す、意図的にノイズを取り入れる、物理的な環境での発見を促すといった短時間でできる遊び心あるテクニックを取り入れることで、リサーチの質とプロセス両方を豊かにできる可能性があります。
これらの方法は、特別なツールや時間を必要とせず、今日の業務からでもすぐに試すことができます。ぜひ、日々のリサーチに少しの遊び心をプラスして、新しい発見やアイデアが生まれる瞬間を楽しんでみてはいかがでしょうか。