モックアップ・プロトタイプに遊び心を 短時間でできる発想転換テクニック
モックアップやプロトタイプの作成は、プロジェクトのアイデアを具体化し、関係者と共有するための重要なプロセスです。しかし、繰り返し行う作業や、既存の仕様に沿った作業が続くと、単調さを感じたり、新たな発想が生まれにくくなったりすることもあるかもしれません。
この記事では、モックアップやプロトタイプ作成の作業に、短時間で遊び心を取り入れ、気分転換や発想転換につなげるための簡単テクニックをご紹介します。日々の業務に少しの刺激を加え、創造性を高めるヒントとしていただければ幸いです。
モックアップ・プロトタイプに遊び心を取り入れる意義
モックアップやプロトタイプは、完成形に近いイメージや動作を確認するために作成されます。そのため、正確性や機能性に焦点が当てられがちですが、その作成プロセス自体に「遊び心」を取り入れることには、いくつかの利点があります。
- 単調さからの脱却: いつもの手順やツールから少し外れることで、作業に対する飽きやマンネリを防ぎます。
- 発想の転換: 普段は試さないようなアイデアや表現に触れることで、予期せぬ解決策や新しいデザインの方向性が見つかることがあります。
- 気分のリフレッシュ: 短時間で気軽な試みを行うことで、集中力を回復させたり、ポジティブな気持ちで作業に戻ったりすることができます。
これらの利点は、特に締め切りが迫っている時や、アイデアが行き詰まっている時に、状況を打開する一助となる可能性があります。
短時間でできる遊び心テクニック
ここでは、数分から30分程度の短時間で実践できる、モックアップ・プロトタイプ作成における遊び心のあるテクニックをいくつか提案します。
1. 普段使わないツールや機能を使ってみる
日頃から使い慣れたツールは効率的ですが、時には新しい発見を阻むこともあります。モックアップ作成ツールには、特定の表現に特化したものや、普段は使わないような機能(例: 手書き風スケッチ機能、アニメーションプリセット、特定のプラグインなど)が搭載されていることがあります。
- 方法: 普段は静的なモックアップしか作らない場合でも、数分だけ簡単なアニメーションを加えてみる。特定のスタイルに特化したオンラインモックアップツールを少し触ってみる。
- 必要な時間・準備: 5分〜15分程度。新しいツールや機能の簡単なチュートリアルを見る時間が必要かもしれません。
- 期待できる効果: ツールの新たな可能性を発見したり、普段のデザインにはない表現方法に気づいたりするきっかけになります。
2. 非現実的なデザイン要素を一時的に加えてみる
真面目なプロジェクトでは決して採用されないような、奇抜な配色、個性的なフォント、シュールな画像などを、一時的にモックアップの一部に差し込んでみます。
- 方法: ボタンの色を原色ギラギラにしてみる、見出しに手書き風フォントを使ってみる、背景画像を全く関係ない風景写真に差し替えてみるなど。すぐに元に戻せるように、別レイヤーや別バージョンで試すと良いでしょう。
- 必要な時間・準備: 3分〜10分程度。差し替え用の素材を事前に少し用意しておくとスムーズです。
- 期待できる効果: 常識にとらわれない自由な発想を促し、普段のデザインの制約を意識することで、逆にデザインの意図や重要要素が明確になることがあります。
3. あえて「不完全さ」を取り入れたスタイルで作成する
完成度の高いモックアップを目指すのではなく、あえて手書き風、ラフスケッチ風、ワイヤーフレーム風など、意図的に不完全な見た目のモックアップを短時間で作ってみます。
- 方法: 専用の「スケッチ」モードがあるツールを利用する、フリーハンドの線を多用する、写真素材の代わりに簡単な図形やアイコンで表現するなど。
- 必要な時間・準備: 10分〜20分程度。ツールに備わった機能を使うか、簡単なスタイルルールを決めておきます。
- 期待できる効果: 細部に囚われず、全体の構造や要素の配置、情報設計といった本質的な部分に集中できます。また、見る側にも「これは検討段階である」ことが伝わりやすく、活発な意見交換につながる可能性があります。
4. モックアップ内の要素にストーリー性やゲーム要素を仮で組み込む
例えば、特定のボタンをクリックすると全く予想外の画面に遷移する、マウスカーソルを乗せると隠れたメッセージが表示される、などの簡単なインタラクションをプロトタイプに仕込んでみます。
- 方法: プロトタイピングツールのトリガーとアクション設定を使い、ごく簡単な「仕掛け」を追加します。これはあくまで遊びなので、複雑なロジックは不要です。
- 必要な時間・準備: 15分〜30分程度。トリガー設定や遷移設定の基本的な理解があれば可能です。
- 期待できる効果: プロトタイプを確認するチームメンバーとのちょっとしたコミュニケーションのきっかけになったり、ユーザー体験におけるサプライズや遊びの要素について考えるヒントになったりします。
遊び心がもたらす効果
これらのテクニックは、直接的にモックアップの品質を高めるものではないかもしれません。しかし、作成プロセスにポジティブな変化をもたらすことで、間接的に良い影響を与える可能性があります。凝り固まった思考をほぐし、作業への意欲を高めることで、結果としてより良いアイデアや解決策にたどり着きやすくなることが期待できます。
まとめ
モックアップやプロトタイプ作成の作業に遊び心を取り入れることは、決して無駄なことではありません。短時間でできる簡単な工夫であっても、日々の業務に新鮮さをもたらし、創造的な思考を刺激する有効な手段となり得ます。
今回ご紹介したテクニックはあくまで一例です。ご自身の業務内容やチームの雰囲気に合わせて、様々な「遊び」を試してみてはいかがでしょうか。小さな一歩が、日々の仕事にポジティブな変化をもたらすかもしれません。