デザインツールの普段使わない機能で遊び心をプラスする簡単テクニック
日々デザイン業務に携わる中で、繰り返しの作業や納期に追われる単調さから、ふとアイデアが枯渇したり、閉塞感を感じたりすることは少なくないかもしれません。常に新しい視点や発想を求められる一方で、ルーチンワークに時間を取られ、創造性を刺激する時間が十分に取れないという状況は理解できます。
このような状況において、「遊び心」を仕事に取り入れることは、気分転換だけでなく、新たな発想を生むきっかけとなる可能性があります。しかし、遊び心を取り入れると言っても、仕事中に長時間費やすことは難しいでしょう。そこで本日は、短時間でできる「デザインツールの普段使わない機能を探求する」という遊び心を取り入れる簡単なテクニックについてご紹介いたします。数分から10分程度の短い時間で試せる方法ですので、ぜひ業務の合間に取り入れてみてはいかがでしょうか。
なぜデザインツールの未知の機能を探求するのか
デザインツールは非常に多機能であり、日々の業務で使う機能はごく一部であるという方も多いのではないでしょうか。普段使わない機能の中には、特定の用途に特化したものや、実験的な表現を可能にするものなど、様々な可能性が秘められています。
これらの「未知の機能」を、仕事の目的から一旦離れて「遊び」として探求することで、以下のような効果が期待できます。
- 気分転換: いつもの作業とは異なる操作や発見は、凝り固まった思考や目の疲れをリフレッシュします。
- 発想の刺激: 普段使わない機能が生み出す予期せぬ視覚効果や表現から、新しいデザインアイデアやアプローチのヒントを得られることがあります。
- ツールの習熟度向上:遊び感覚で触れることで、ツールの隠れたポテンシャルを知り、将来的に業務効率化や表現の幅を広げることに繋がるかもしれません。
- 知的好奇心の満足: 新しいことを学ぶ、発見するという行為そのものが、脳を活性化させ、モチベーション向上に寄与します。
これらの効果は、いずれも数分程度の短い時間で得られる可能性があるものです。
短時間で試せるデザインツール遊びテクニック
ここでは、PhotoshopやIllustrator、Figmaなどの一般的なデザインツールで試せる、普段あまり使わない機能を使った遊び心をくすぐるテクニックをいくつかご紹介します。
テクニック1: 普段使わない調整レイヤーやフィルターをランダムに適用する
既存のデザインファイルや、適当な画像素材を用意してみてください。次に、レイヤーパネルから普段あまり選択しない調整レイヤー(例: 特定の色域を調整するもの、チャンネルミキサー、カラーバランスなど)を選び、パラメータを動かしてみましょう。あるいは、フィルターギャラリーを開き、知っているけれど使ったことがないフィルターをいくつか適用し、設定をランダムに変更してどのような視覚効果が生まれるか観察してみてください。
- 所要時間目安: 5分〜10分
- 期待できる効果: 色彩や質感に関する新しい発見、思いがけないビジュアル表現のヒント。普段は避けるような配色や加工が、意外な効果を生むこともあります。
テクニック2: ブレンドモードの未知の組み合わせを試す
複数のレイヤーがある状態で、それぞれのレイヤーのブレンドモードを普段あまり使わないもの(例: 除外、差の絶対値、比較暗、比較明など)に切り替えてみてください。レイヤーの重ね順を変えたり、不透明度を調整したりしながら、様々なモードを試してみましょう。同じ画像でも、ブレンドモードを変えるだけで全く異なる雰囲気になります。
- 所要時間目安: 5分〜10分
- 期待できる効果: レイヤー間の新しい相互作用の発見、奥行きや特殊な質感を表現するアイデア。テクスチャ表現や合成作業の応用にも繋がる可能性があります。
テクニック3: パスツールやシェイプツールで抽象的な形を生成する
新規ファイルを開き、ペンツールやシェイプツール(直線ツール、多角形ツールなど)を使って、特に完成形を意識せず、気の向くままにパスや図形を描いてみてください。複数のパスや図形を組み合わせ、パスファインダー機能(形状モード、パスコンポーネントなど)を使って結合したり、前面オブジェクトで型抜きしたりといった操作を実験的に行います。
- 所要時間目安: 10分〜15分
- 期待できる効果: 手を動かすことによるリフレッシュ、思考からの解放、意図しない面白い形の発見。ロゴやアイコン、グラフィック要素のインスピレーションになることもあります。
テクニック4: テキストツールでフォントのOpenType機能やバリアブル設定を探求する
テキストレイヤーを作成し、普段使わない欧文フォントや、バリアブルフォントを選んでみてください。文字パネルやプロパティパネルを開き、OpenType機能(合字、字形セット、スワッシュなど)をオンオフしてみたり、バリアブルフォントであればウェイトや幅、傾斜といったパラメータを極端に変えてみたりします。テキストにアウトラインをかけてアンカーポイントをいじる遊びも良いでしょう。
- 所要時間目安: 5分〜10分
- 期待できる効果: タイポグラフィ表現の可能性発見、文字組みの面白さ、デザイン全体の雰囲気を左右する要素への理解。
これらのテクニックを実践する上でのヒント
これらのテクニックを試す際は、仕事の成果に繋げようと気負う必要はありません。「ただ遊んでみる」「どんなことができるんだろう?」という軽い気持ちで始めることが大切です。タイマーを数分だけセットして集中してみるのも良いでしょう。そこで得られた視覚的な面白さや、ツールの意外な挙動といった発見が、後々実際のデザイン作業における引き出しを増やすことに繋がる可能性を秘めています。
実際に、あるデザイナーは、休憩時間にブレンドモードをランダムに試していたところ、クライアントが求めていた独特のテクスチャ表現のヒントを偶然得られた、という事例もあります。遊びの中から生まれた発見が、直接的に仕事の課題解決に繋がることもあるのです。
結論
日々のデザインワークに追われる中で、単調さやアイデア枯渇を感じることは自然なことです。しかし、そんな時こそ短時間で「遊び心」を仕事に取り入れることで、気分転換や発想の刺激を得ることができます。
今回ご紹介したデザインツールの普段使わない機能を探求するというテクニックは、特別な準備も時間もほとんど必要ありません。数分間、純粋な好奇心を持ってツールと向き合うだけで、新鮮な視点や新しい発見があるかもしれません。
ぜひ今日から、業務の合間に数分でも良いので、デザインツールの未知の機能を探求する「遊び」の時間を作ってみてはいかがでしょうか。その小さな遊びが、あなたの仕事に良い影響をもたらす可能性は十分にあります。