今日から始める遊び仕事

コンポーネントライブラリに遊び心を 短時間でできる命名・ドキュメントのアイデア

Tags: コンポーネントライブラリ, デザインシステム, 命名規則, ドキュメント作成, Webデザイン

日々の業務において、デザインシステムやコンポーネントライブラリは効率化や品質維持に欠かせない存在となっています。特にWebデザイナーやフロントエンドエンジニアの方々にとっては、これらを活用したり、あるいは構築・整備したりする機会も多いかもしれません。

しかし、コンポーネントの命名規則を考えたり、ドキュメントを記述したりといった作業は、時に単調に感じられることもあるかもしれません。規約に基づいた正確さが求められるため、創造的な側面が少なくなりがちです。

こうした単調な作業の中に、ほんの少し「遊び心」を取り入れてみることで、気分転換になったり、新たな視点を得られたり、さらにはチームとのちょっとしたコミュニケーションのきっかけになったりすることが期待できます。「今日から始める遊び仕事」では、短時間でできる、仕事に遊び心を取り入れるテクニックをご紹介しています。

今回は、コンポーネントライブラリの命名やドキュメント作成という、一見遊び心とは縁遠そうな作業に、短時間でできる遊び心を加えるアイデアをいくつかご紹介します。これらのアイデアは、厳密な規約を守りつつも、日常に少しだけ新鮮な風を吹き込むことを目的としています。

短時間でできる遊び心のアイデア

コンポーネントライブラリにおける命名やドキュメントの作業は、体系的で厳密さが求められますが、その中でも短時間で試せる小さな遊び心の要素を取り入れることは可能です。

1. 命名規則に「隠し接頭辞/接尾辞」を設ける(チーム内での小ネタに)

これは厳密な命名規則の範疇からは少し外れますが、チーム内での共通認識として、特定のコンポーネントや、特定の意図を持つコンポーネントに、ごく短い、遊び心のある接頭辞や接尾辞を非公式に追加してみるというアイデアです。

例えば、一時的に使用するコンポーネントに「_temp」のような接尾辞をつける代わりに、チーム内で「_wip」(Work In Progress)や、さらに遊び心のある「_unstable」のような名前を付けて、見た人が少しクスっとできるような共通の符丁とするなどです。あるいは、非常に基本的なコンポーネント群に「base_」の代わりに「core_」や、少し凝ったものなら「foundational_」のような、少しだけドラマチックな名前を検討してみることもできるかもしれません。

もちろん、これは公式な命名規則を逸脱しない範囲で、かつチームの文化やプロジェクトの性質に合わせて慎重に行う必要があります。しかし、短時間でできる小さな工夫として、命名作業にちょっとした面白みを加えることができる可能性を秘めています。必要な時間は、名前を考える数分と、チーム内で合意形成を図る数分程度でしょう。

2. ドキュメントの説明文に比喩やユニークな一文を加える

コンポーネントの役割や使い方を説明するドキュメントは、正確性が最優先ですが、その導入部分や各セクションの冒頭に、少しだけ比喩的な表現や、コンポーネントの「個性」を表すようなユニークな一文を加えてみるのはいかがでしょうか。

例えば、Button コンポーネントの説明に「ユーザーのアクションをトリガーする、UIの心臓部の一つです」といった少し大げさな比喩を使ったり、Tooltip コンポーネントに「ユーザーにそっと寄り添い、必要な情報を耳打ちします」のような擬人化を含んだ表現を加えたりするのです。

### Button

ユーザーのアクションをトリガーする、UIの心臓部の一つです。クリック可能な要素を表現するために使用します。

...(以降、詳細な使い方やプロパティの説明)...

このような工夫は、ドキュメントを読む人が少し面白みを感じ、内容への興味を引き出すかもしれません。また、コンポーネントへの愛着が湧きやすくなる効果も期待できる可能性があります。加える一文を考える時間は数分程度で済むでしょう。

3. ExampleやUsageセクションに「ありそうでない」シナリオを混ぜる

コンポーネントの使い方を示すExampleコードやUsageセクションは、典型的な使用例を示すことが重要ですが、その中に一つか二つ、「これはどういう状況で使うんだろう?」と考えるような、少しユニークなシナリオを混ぜてみるのも面白いかもしれません。

例えば、日付ピッカーコンポーネントのExampleに、未来の非常に遠い日付を選択する例を入れたり、ユーザーアバターコンポーネントのExampleに、存在しない架空の人物名とユニークなアイコンの組み合わせを使ったりするのです。

// Button Component Usage Example

// 基本的な使い方
<Button onClick={handleClick}>送信</Button>

// 無効化されたボタン(押しても何も起こりません...今はまだ)
<Button disabled onClick={handleClick}>無効</Button>

// ちょっとユニークなシナリオ例(宇宙へのメッセージ送信ボタン)
<Button onClick={sendToOuterSpace}>宇宙へ発信</Button>

これにより、ドキュメントを読む人が Examples セクションを見る際に、退屈せず、少し好奇心を刺激される可能性があります。ただし、主要な使用例が分かりにくくならないよう、あくまでアクセントとして加える程度に留めることが重要です。ユニークなシナリオを考える時間も、多くはかからないでしょう。

4. ステータスやバリアントの説明に小見出しやアイコンを工夫する

コンポーネントの様々な状態(ホバー、アクティブ、エラーなど)やバリアント(プライマリ、セカンダリ、アウトラインなど)を説明する際に、それぞれの説明に短い、特徴を表すような小見出しを付けたり、シンプルなアイコンや絵文字(規約で許容される範囲で)を添えてみたりするのも一つの方法です。

例えば、エラー状態の説明に「ちょっとご機嫌斜めな時」、成功状態に「全て順調!」のような小見出しを添えるなどです。アイコンであれば、エラーに赤いマーク、成功に緑のチェックマークといった標準的なものだけでなく、少しユニークな、しかし意味が通じるものを選んでみることもできるかもしれません。

これにより、ドキュメントの視覚的な単調さが軽減され、それぞれの状態やバリアントがより印象に残りやすくなる効果が期待できます。アイコンや小見出しを考える時間、そしてそれを実装する時間も、通常は数分から十数分程度で完了するでしょう。

まとめ

コンポーネントライブラリの命名やドキュメント作成といった作業は、システムの根幹に関わるため、厳密さや正確さが求められます。しかし、その中にほんの少し遊び心を取り入れることは、決してシステムの質を損なうものではありません。むしろ、作業者の気分転換になったり、チーム内の雰囲気を和ませたり、ドキュメントをより魅力的にしたりといった、ポジティブな効果をもたらす可能性を秘めています。

今回ご紹介したアイデアは、いずれも短時間で試せる小さな工夫です。これらのアイデアを参考に、ご自身のコンポーネントライブラリ作業に、少しだけ「遊び仕事」の要素を加えてみてはいかがでしょうか。きっと、いつもの作業が少しだけ新鮮に感じられるはずです。