今日の配色・フォントに遊び心を 短時間でできるアイデア集
毎日触れる配色・フォントに、ちょっとした遊び心を
Webデザイナーやクリエイティブ職の皆様にとって、配色やフォントの選定は日常的な業務の一部かと思います。プロジェクトのトンマナに沿って色を選び、可読性やデザイン性を考慮してフォントを決める。この一連の作業は、慣れるにつれて効率化される一方で、時に単調さを感じさせたり、アイデアが固定化してしまったりすることもあるかもしれません。
納期に追われる日々の業務の中で、立ち止まって新しいアイデアを探す時間を持つのは難しいものです。しかし、ほんの数分、配色やフォントの選定プロセスに「遊び心」を加えてみるだけで、気分転換になったり、思わぬ発見があったりする可能性があります。
この記事では、日々のデザインワーク、特に配色やフォントの選定に、短時間で手軽に取り入れられる遊び心のエッセンスをご紹介します。
短時間でできる!配色・フォント選定に遊び心を取り入れるアイデア
ここでは、業務の合間に数分から30分程度で試せる具体的なアイデアをいくつか提案します。
1. ランダムカラーパレットで思わぬ発見を
- 方法: オンラインのカラーパレット生成ツール(例: Coolors, Paletton)や、デザインツールの配色機能にあるランダム生成機能を活用します。完全にランダムに生成されたパレットをいくつか眺めてみたり、ベースとなる色を一つ決めてそこから派生させてみたりします。
- 所要時間: 5分〜10分程度
- 期待できる効果: 普段自分が選びがちな色の組み合わせとは全く異なるパレットに出会える可能性があります。このパレットをそのまま使うのではなく、アイデアの種として眺めるだけでも、色の見方や組み合わせ方の固定概念から一時的に解放される効果が期待できます。新しいプロジェクトの色選びで行き詰まった際に、試してみるのも良いでしょう。
2. 普段使わないフォントを「仮置き」してみる
- 方法: デザインツールでテキストを入力する際に、普段業務でほとんど使わない、あるいは全く使ったことのないフォントをいくつか試してみてください。Google FontsやAdobe Fontsなどのライブラリを眺め、直感的に気になるフォントをピックアップして適用してみます。
- 所要時間: 5分〜15分程度
- 期待できる効果: コンテンツの内容と全く合わないフォントを試すことで、逆にコンテンツに必要なフォントの特性が見えてくることがあります。あるいは、意外なフォントが既存のデザインに新しい表情を与えてくれる可能性もあります。あくまで「仮置き」「遊び」として、気軽に試すことがポイントです。
3. 配色・フォントの「制約」をあえて変えてみる
- 方法: 現在取り組んでいるデザインの色数やフォントの種類に、一時的に極端な制約を設けてみます。例えば、「このセクションの色はモノクロにする」「使用フォントを1種類だけにする」といったルールを設けて、デザイン要素の配置やサイズだけで情報伝達を試みます。あるいは、「アクセントカラーを全体の90%の面積に使う」といった非現実的な比率を試すのも面白いかもしれません。
- 所要時間: 10分〜20分程度
- 期待できる効果: 普段当たり前だと思っているデザインのルールや制約を一時的に外すことで、問題解決のための新しいアプローチを発見できることがあります。情報の優先順位や視線の誘導について、改めて深く考えるきっかけにもなります。
4. 異分野から配色・フォントのヒントを得る
- 方法: ファッション、建築、自然風景、美術館の展示など、デザイン以外の分野からインスピレーションを得ます。PinterestやInstagramで興味のある分野の画像を数分間眺め、そこで使われている色や、文字(ロゴ、看板など)の形や配置に注目してみてください。
- 所要時間: 10分〜20分程度
- 期待できる効果: 異分野の色使いやタイポグラフィは、Webデザインにはない新鮮な視点をもたらしてくれます。直接的に模倣するのではなく、「この色の組み合わせはどのような感情を呼び起こすか」「このフォントの形はどのような印象を与えるか」といった抽象的な要素を抽出することを意識すると、より仕事に応用しやすくなります。
5. 「今日の遊び心」をチームで共有する習慣
- 方法: チーム内のチャットツールで、「今日の遊び心配色」や「今日の遊び心フォント」として、業務で試してみた実験的な配色パターンやフォントの仮置き例のスクリーンショットを気軽に共有してみます。
- 所要時間: 各自の作業時間 + 共有に数分
- 期待できる効果: チーム内のカジュアルなコミュニケーションが活性化されます。他の人の実験的なアイデアからインスピレーションを得たり、フィードバックを交換したりすることで、閉塞感を和らげ、チーム全体の創造性を刺激する可能性があります。堅苦しい発表ではなく、あくまで「遊び」として共有することが重要です。
遊び心がもたらす小さな変化
これらのアイデアは、日々の業務に直接的に大きな変更を加えるものではありません。しかし、少しの時間で「いつもと違うこと」を試すことで、脳に新しい刺激を与え、凝り固まった思考をほぐす効果が期待できます。
あるデザイナーは、毎日業務開始前にランダムなカラーパレットを眺める習慣を取り入れたことで、これまで意識していなかった色の組み合わせに気づき、デザインの幅が広がったと語っていました。また、別のチームでは、チャットで「今日の遊び心フォント」を共有し始めたところ、休憩中の会話が増え、チームの雰囲気が明るくなったという例もあります。
遊び心は、完璧な成果を求めるプレッシャーから一時的に解放してくれる安全弁のようなものです。失敗を恐れず、純粋な好奇心を持って様々な配色やフォントを試してみることで、デザインプロセスがより楽しく、創造的なものになるかもしれません。
まとめ
この記事では、配色やフォントの選定という日々のデザインワークに、短時間で遊び心を取り入れるための具体的なアイデアをご紹介しました。
- ランダムカラーパレットで未知の組み合わせを探る
- 普段使わないフォントを気軽に試す
- あえて制約を変えて視点を変える
- 異分野から新しいヒントを得る
- チームで「今日の遊び心」を共有する
これらのアイデアは、どれも特別な準備や長い時間を必要とするものではありません。まずは今日から、これらのアイデアの中から一つでも試してみてはいかがでしょうか。日々の業務に小さな遊び心を取り入れることが、マンネリ化を防ぎ、新しい発想を生み出すきっかけとなることを願っています。